【.encircled1.】同じ様にネフロン数を減少させながら、糸球体肥大を来す動物モデルと、糸球体肥大を来さない動物モデルをWisterラットで作成した。血管結紮にて左腎の2/3を梗塞させ、反対側腎を摘出した高度腎摘出モデルでは、2週間後に糸球体サイズが対象群に比べ平均28%増加し、糸球体肥大が認められた。一方、左腎に2/3の腎梗塞を作成し、反対側の尿管を腹腔内に開いたureteral diversionモデルでは、2週間後でも糸球体の大きさは対象群と差がなかった。 【.encircled2.】次に、培養メサンギウム細胞をWisterラットとBALB/cマウスより作成した。糸球体はメッシュ法にて単離し、10%FCS加DMEMで培養を行い、outgrowthしてくる細胞を継代培養して培養メサンギウム細胞を得た。 【.encircled3.】高度腎摘出モデルをWisterラットとBALB/cマウスに作成し、手術後3-4日目と10-14日目に動物より採血して血清を分離した。5-10継代目の培養メサンギウム細胞に上記動物モデルの血清を10%になるように添加し、メサンギウム細胞の増殖程度を^3H-thymidine uptakeで検討した。controlにはsham operationの血清を用いた。その結果^3H-thymidine uptakeは、sham operationの血清添加時を100%として、高度腎摘出ラットでは4日目の血清添加により約160%に、また14日目の血清添加により約145%に増加し、血清中にメサンギウム細胞の増殖を促進する因子が増加する事が明かとなった。さらに、血清を分子量別に分画し、分子量3000以下、10000以上の3分画にして、メサンギウム細胞の培養系に添加し、細胞増殖能を検討したところ、分子量3000以下の分画と、10000以上の分画に増殖促進活性が認められた。本研究から、高度腎摘出動物の血清中にメサンギウム細胞の増殖を促進し、糸球体の代償性肥大に関与する因子が存在することが明らかになった。現在、細胞外基質成分、および基質破壊の調節系酵素の遺伝子発現への影響を検討している。
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