高度腎摘出動物の血清中にメサンギウム細胞の細胞動態を変化させる血清因子が依存する可能性を検討した。左腎に血管結紮で2/3腎梗塞を作成後右腎を摘出して作成した高度腎摘出動物の血清を分子量により亜分画した血清を用いて、メサンギウム細胞の^3H-thymidinの取り込みを指標にした細胞増殖能を検討した昨年んの研究結果では、僅かながらメサンギウム細胞の細胞増殖を促進する分画が存在し、何らかの血清因子に存在するいことが明らかになった。そこで、本年度はこの分画血清を用い、protein kinase Cを修飾したメサンギウム細胞を用いて増殖反応を検討したが、血清因子の特異性は認められなかった。培養メサンギウム細胞に各種サイトカインや高度腎摘出マウスの血清を添加したあと、acid guanidinium thiocyanate-phenol-chloroform法でmRNAを抽出して、細胞外基質代謝についてnothern blot法で検討した。2.5%FCS加DMEMで培養したメサンギウム細胞ではprocollagen α(IV)、laminin B2、およびTIMPの遺伝子発現を認め、IL-1βの添加でtransinが誘導された。しかし、高度腎摘出マウスの血清を添加しても、これらの遺伝子発現に明らかな差は見いだせなかった。高度腎摘出動物の血清中に存在する細胞増殖能の差はserum stervationを7-10日行い得られたもので、nothern blot法の感度ではメサンギウム細胞の基質代謝の変化を検出しがたい可能性があり、血清因子は基質代謝を大幅に変化させるものではないと考えられた。そこで、メサンギウム細胞とcollagenのgelに包埋培養し、gelの収縮を観察する方法でcell-matrix interactionを検討した。その結果、FCSやTGF-βでgelの収縮は著しくなり、血清因子やサイトカインがgelの収縮に影響する事が明らかとなった。高度腎摘出マウスの血清を添加した場合には、sham operationのマウスの血清を添加した場合よりgelの収縮が著しく、cell-matrix interactionを変化させる何らかの因子が高度腎摘出動物の血清中に増加するとが示唆された。
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