研究概要 |
今年度は、培養メサンギウム細胞でのFcalpha-receptor(FcalphaR)の発現を遺伝子レベルで証明し、サイトカインによるメサンギウム細胞FcalphaRの発現調節を検討した。 人腎細胞癌の摘出腎正常組織より、型のごとくsieving法により単離糸球体を採取し、collagenase処理後継代培養を行い人培養メサンギウム細胞を樹立した。同様に、BALB/cマウスよりマウス培養メサンギウム細胞を樹立した。 この培養細胞よりRNAを抽出し、human histiocytic lymphoma cell line U937よりクローニングされたhuman FcalphaR cDNAをprobeとしたnorthern blot analysisを行った。その結果、人培養メサンギウム細胞では約2.8kbにbandを認め、FcalphaRの発現が確認された。マウス培養メサンギウム細胞でも淡いbandが見られたが、用いたprobeがhuman FcalphaR cDNAであり、種差のためか再現性に乏しくFcalphaRの発現は明かではなかった。 次に、人培養メサンギウム細胞を用い、IL-1,IL-2,IL-6,INF-gammaを各々0.1,1.0,10ng/mlの各濃度で培養上清に添加し、24,48時間培養後にFcalphaRの発現をnorthern blot analysisにて検討した。IL-2,IL-6で24時間後よりFcalphaRの発現増強を認めた。しかし、技術的問題もあるためか用量依存性は明かではなっかた。 以上まとめると、人培養メサンギウム細胞でFcalphaRの存在が遺伝子レベルで証明された。人培養メサンギウム細胞のFcalphaRは、IL-2,IL-6などの炎症性サイトカインによりその発現が増強することが明かとなった。
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