研究概要 |
リボヌクレアーゼ・プロテクション・アッセイ(RPA)法によるヒト培養メサンギウム細胞のFcα-receptor(FcαR)mRNA発現の検討 ヒト脾細胞cDNAライブラリーよりPCR法にて採取したFcαR α鎖cDNA fragmentをサブクロー化しcDNAプローブとした。このcDNAからT7 RNAポリメラーゼによりRNAを合成しRNAプローブを作成した。3系統の異なるヒト培養メサンギウム細胞(4-6継代)よりAGPC法にて型のごとくRNAを抽出しRPAを行った。その結果、1系統の細胞のみにFcαR mRNAの発現を認めた。このFcαR mRNA発現培養メサンギウム細胞を用い、IL-1,IL-6,TNFα,PDGF,TGF-βおよび熱凝集IgA_1,IgA_2を添加培養しFcαR mRNAの発現調節を検討した。IL-6,TNFαおよび熱凝集IgA_<1,2>でFcαR mRNA発現の増加傾向がみられたが有意なものではなく、用量および反応時間による差異もみられなっかた。 腎生検組織でのFcαR mRNAの検討 腎生検組織(IgA腎症2例、MCNS2例、SLE2例)および腎腫瘍患者からの摘出腎正常皮質部分よりオリゴdTセルロース・カラムでmRNAを抽出し、RT-PCRにてFcαR mRNA発現を検討した。摘出腎正常皮質部ではFcαR mRNAの発現が同定されたが、腎生検組織からはmRNAの抽出量が少なかったためか同定できなかった。 糸球体メサンギウム細胞でのFcαRの発現は微量かつ不安定であると考えられる。糸球体メサンギウムへのIgA免疫複合体の沈着におけるFcαRの役割は、大きなものではないと思われる。
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