研究概要 |
妊娠14日のSlc:ICRマウスをネンブタール腹腔内麻酔下に開腹し,子宮壁を切開し,羊膜・絨毛膜に小切開を加え,胎児の鼻・上口唇の一部を子宮外に露出させた。この部分にアルゴン・レーザーを2ワット,1秒で3回照射した。この胎児の鼻・上口唇部分を子宮内に完納し,漏出した羊水の代わりに温めた乳酸化リンゲル液を注入した後,穿破した羊膜・絨毛膜は開放のままとし,子宮壁を10-0ナイロン糸で縫合,次いで閉腹した。術後,胎児を経時的に回収し,レーザー照射野の創傷治癒過程を肉眼的,組織学的,組織化学的に観察した。 著しい壊死・出血,リンパ球様の単核細胞を主体とする著明な炎症性細胞浸潤,壊死組織の上を伸張する再生上皮,線維芽細胞様の間葉細胞の増生と毛細血管の新生という,レーザー照射後の開放創における創傷治癒過程での一連の特徴的な事象が観察され,切除開放創における創傷治癒過程とは異なることが判明した。また,特に胎児皮膚の細胞外基質としてヒアルロン酸が多く認められることが分かった。 今後もさらに,細胞外基質の動態を中心に検索を進めるつもりである。
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