研究概要 |
実験動物にDiethylnitrosamine(DEN)を経口投与し、化学発癌を試みたが、これのみではγ-GTP染色陽性のHyperplastic nodule(HN)の形成が悪く、これに門脈下大静脈吻合(Eck)を加えることでHN形成が促進されるかどうかを検討した。実験群1:Eck+DEN(150mg/kg),実験群2:Eckのみ,実験群3:DEN+Phenobarbital(0.5g/L飲水),実験群4:DENのみ,の4群について、実験動物の肝表面上のHN形成を3か月間観察し、屠殺後、肝組織における薬物代謝酵素活性、γ-GTP染色によるHN形成率を検討した。NADPH-Cyt C Reductase活性は、実験群4の40±6(U/g protein)に対し、実験群1では55±7(U/g protein)と増加を認め、γ-GTP染色によるHN形成率も、実験群4では非常に少ないものの、実験群1では明らかに多くの結節を認めた。しかし、3か月のincubation timeにしては、HNの形成が不十分なため、これを短縮させる目的で、DENと同様に化学発癌を引き起こす2-acety1aminofluorene(AAF)を食餌に混入させる方法による化学発癌を検討した。これによると2か月間で、DENによる化学発癌以上の結節を回収することができた。この実験モデルよりHNを切り取り、コラゲナーゼで処理して細胞分離を行ない、アルギン酸ナトリウムによる被包化を行なった。HN由来肝細胞は、通常の遊離肝細胞のように完全分散は困難であったが、フラグメント状になり、アルギン酸ナトリウムによる被包化にも問題なかった。被包化HN由来細胞の解毒能をアンモニア負荷試験で確認したところ、尿素合成能を認め、人工的腫瘍化肝細胞株による肝機能補助リアクター作成の可能性が示唆された。
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