前年度に引き続き、ヒト成熟血液細胞の照射SCIDマウスへの移入実験を行った。今回、T細胞やB細胞等の単離をCell sorterとモノクローナル抗体を用いて行った。最初、単離はほぼ完全にできるが、操作に時間がかかるので回収する生細胞数が少なかった。現在は、満足できる回収レベルに至っている。これらの分離細胞やin vitro混合培養刺激細胞の移入をあわせて行った。しかし、生着そのものが低かった。このため、数種類のヒトリンパ腫の打ち込みを行ったが、これらの培養癌細胞の生着も低い結果となった。SCIDマウスの生着を抑制するdefense機構としてのNK細胞に対する処置を検討した。マウスAssialo-GM1やALSを投与しNK activityを51Crを用いて測定した。通常量の抗体や血清投与直後ではNK活性が低くなるが、14-20日より回復することが判明した。SCIDマウスNK細胞の活性が細菌やウイルス感染によって増強されるという報告がある。当施設の照射室はクリーン室ではなく、照射後の飼育施設環境等にも問題がある可能性が疑われる。ヒトリンパ球を採取する量にも限界があることも問題であった。ヒトと腎・心機能が生理的に似ていて、主要適合抗現が比較的明らかにされているブタのリンパ球を使うことを今後検討しなければならない。
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