研究分担者 |
深柄 和彦 東京大学, 医学部(病), 医員 (70323590)
稲葉 毅 東京大学, 医学部(病), 医員 (80272582)
鈴木 公孝 東京大学, 医学部(病), 助手 (60221321)
橋口 陽二郎 東京大学, 医学部(病), 助手 (60251253)
福島 亮治 東京大学, 医学部(病), 助手 (50228897)
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研究概要 |
本年度は1.肝硬変に於ける成長ホルモン(GH)の蛋白代謝改善作用低下機序の分子生物学的解明と、2.GH又はInsulin-like growht factor I(IGF-I)投与、および3.一酸化窒素(NO)産生阻害剤(NAME)投与によるサイトカイン産生のmodulationとその影響の検討を行った。【方法】1.正常肝及び肝硬変ラットに胃切除術を施行、生食又はGH0.8IU/kg/dayを3日間投与し肝IGF-I-mRNA量・血中IGF-I血を測定した。2.マウスにGH(4.8mg/kg/日)又はIGF-I(24mg/kg/日)、生食を6日間皮下注後、大腸菌(10^8個)を腹腔内投与し、生存率・宿主反応をみた。3.マウスにNAMEを100mg/kg腹腔内投与した1時間後に、大腸菌(10^8個)を腹腔内投与し、生存率・宿主反応をみた。【結果】1.正常肝GH群では肝IGF-I-mRNA量・血中IGF-I値とも上昇したが、肝硬変GH群では両データとも上昇しなかった。2.GH及びIGF-I群は生食群に比べ生存率を改善し、細菌投与6時間後の腹腔内浸出細胞数を増加、腹腔内(GH)・肝生菌数を減少、血漿中TNF(生食:64,GH:35,IGF-I:26u/ml)及びIL-1(4.7,2.0,2.7×10^2pg/ml)、IL-6(6.4,2.2,2.1×10^5pg/ml)濃度を低下させた。3.NAME投与群では24時間後の生存率が非投与群に比べて有意に低く(0vs50%)、細菌投与4時間目の腹腔内生菌数も多く(4×10^7vs3×10^6/ml)、血漿TNF値も高値であった(1440vs354U/ml)。【結語】敗血症生体におけるGH及びIGF-Iの前投与はサイトカイン産生制御と細菌除去能を高め生体防御力を増強するが、肝硬変ではGH投与後も肝IGF-ImRNAが発現せずGHの効果が現れにくいため、IGF-I投与の方が有利であることが示唆された。一方、敗血症生体におけるNO産生阻害剤投与は生体に悪影響を及ぼすことが判明した。
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