研究概要 |
PCR-cloning法による新たな遺伝子単離を目指して研究を進めてきたが,現在までにいくつかの新しい遺伝子断片が得られたので報告する. まずPCRのprimerを設定する際に,類似した機能をもつ遺伝子も増幅できるように重要なドメインに64〜256種類のdegenerate primerを合成し,いくつかの細胞から合成したcDNAを鋳型にPCRを行った.今回,対象としたのは細胞の分化,増殖に関与しているとされるカルシウム結合蛋白ファミリーで,これらでよく保存されているCa結合部位をprimerの設定場所として選択した.いくつかのprimerを組み合わせたPCRの結果,予想される以外の未知のバンドが出現した増幅産物をHPLCで精製した後,T-vectorにライゲーションして,シークエンスを行いopen reading frameの検索を行った.十分な長さのopen reading frameが得られた塩基配列をGene Bankにて照合した結果,いくつかの既知の遺伝子のほかに,未知の遺伝子と考えられるいくつかのクローンが得られた.これらのなかには既知の遺伝子とほとんど相同性がないものや,既にHuman sequence taqとして報告されている機能不明の未知の遺伝子群と一致するものが単離されている. 今後,これらの遺伝子の各組織での発現を検索し,最終的にcDNAライブラリーからの全長の遺伝子の単離を行う予定である.
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