研究概要 |
1.16,16-dimethyl prostaglandin E2の持つ免疫抑制効果について成犬肝移植モデルにおいて浸透圧ポンプを用いたグラフト内直接投与を行ったが、レシピエントの生存率はコントロールと比べて有意な差を認めなかった。しかし組織学的検査及び生化学的検査では治療群において改善傾向が認められ、本治療法の有効性が示唆された。また温阻血ドナー肝を用いた移植実験では、16,16-dimethyl prostaglandin E2の持つ臓器保護作用が認められた。 2.ラット冷保存肝移植モデルにおいて、Kupffer cell blockade(Gadolinium chloride)を用いてドナーラットのKupffer cellを不活化することでレシピエントの生存率が有意に延長した。このKupffer cellを単離してサイトカインの産生を調べたところ、tumor necrosis factor(TNF-alpha)が治療群では有意に抑制されており、さらにプロスタグランジンの産生が増加していることが、preliminary experimentで証明された。この現象は冷保存肝の移植において認められる臓器障害(肝不全)に対して、プロスタグランジンが細胞保護作用を持つこと、さらにそのメカニズムとしてtumor necrosis factor(TNF-alpha)などの細胞障害性サイトカインの産生を抑制することであることが示唆された。 3.今年度は1、2で得られた結果を基にプロスタグランジンの持つ細胞保護作用、免疫抑制効果について、おもにサイトカインの産生との関係を中心に研究を進める。
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