研究概要 |
1.16,16-dimethyl prostaglandin E2の持つ免疫抑制効果についてラット心及び腎移植モデルを用いて検討した。まず16,16-dimethyl prostaglandin E2の心グラフト内直接投与により拒絶反応の完全制御が得られ、これらのLong term survivorではドナーと同系の心及び皮膚グラフトが生着し、door Specific unresponsivenessが誘導されていることが判明した。次にそのメカニズムを解明するために、ラット腎移植モデルにおいて浸透圧ポンプを用いて16,16-dimethyl prostaglandin E2の腎グラフト内直接投与を14日間行ったが、拒絶反応の起らない同系移植では腎グラフト間質内の浸潤白血球数はコントロールと比べて有意な差を認めなかったが、拒絶反応を伴う同種移植モデルではDMPGE2のグラフト内投与により著明な(コントロールに比べて25%に減少(白血球浸潤抑制作用が認められた。以上よりDMPGE2の免疫抑制作用は免疫担当細胞のグラフト内への集積を抑制することにより得られることが示唆された。 2.ラット肝温阻血実験において、Kupffer cell blockade(Gadolinium chloride)を術前に投与する事で肝逸脱酵素の著明な減少が得られた。また、このKupffer cellを単離してサイトカインの産生を調べたところ、tumor necrosis factor(TNF-alpha)が治療群では有意に抑制されていることが証明された。しかし内因性のPGE2の産生は変化を認めず、現在外因性にPGE2を投与することでKupffer cellの活性化を抑制し肝不全の改善が得られるかについて検討中である。
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