研究概要 |
肝のBUDP-GT欠損により先天的高ビリルビン血症を呈し、生後早期より小脳変性を来す先天性代謝病Gunnラットに対し、同酵素が小腸に存在することから、全小腸移植を行い、その減黄効果を検討した。 方法:正常WS雄性ラット(RT1^K)12週齢(体重300〜350g)をdonor,雄性Gunnラット(WS,jj)(RT1^K)12週齢(体重250〜300g)をrecipientとし、下記の各群に分けた。正常W/SをI群(N=8)未処置Gunnラット(j/j)をII群(N=8)、Gunnラット同系全肝同所性移植群をIII群(N=8)、同系全小腸移植群をIV群(N=8)とした。I〜II群を対象群とし血中ビリルビンと胆汁ビリルビン分画をHPLC法にて分析しIII群・IV群と比較検討した。小腸移植はMonchikらの方法により行い腸管は全層-層連続縫合にて一期的に吻合した。 結果:II群の血中ビリルビン値は5.94±0.43mg/dlとI群の0.3±0.01mg/dlに比し高値を示した。III群の血中ビリルビン値は移植後2週で1.44±0.82mg/dlと有意に減少しその後も低値を持続した。また、IV群でも術後1カ月で2.6±0.4mg/dl、2カ月で2.88±0.19mg/dlと正常域には達していないがII群に比べ有意に減少していた。胆汁のHPLC法による分析では、I群でBMG.BDGなどの抱合体が91%であった。III群では抱合体が95%、IV群でも55%とII群の6.8%に比較し有意に増加していた。 以上、先天性B-UDP-GT欠損症に対し、小腸に存在する同酵素で代償することを目的とした小腸移植の有用性が示唆された。
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