正常小腸粘膜にはbilirubin UDP-GTが存在することから、平成5年度は、この酵素が先天的に欠損したGunnラットに対し、正常ラット全小腸を同系移植し、移植後の血中総ビリルビン及び胆汁ビリルビン分画の面から酵素補充としての代用肝の可能性について報告した。平成6年度は、生体部分小腸移植の可能性と小腸の免疫学的特性を考慮し、部分小腸同系移植を行い、前年度と同方法で検討した。[方法]正常で未処置W/Sラット群、未処置Gunnラット群、同系全小腸移植群、空腸20cm移植ラット群、空腸10cm移植群、回腸20cm移植群の6群に分けた。donor・recipientとも12-16週齢の雄性ラットを使用した。なお、部分小腸移植はMonchik&Russellの方法に準じて行った。移植前、移植後2週、1カ月、それぞれ以降は1カ月毎に4カ月まで行い、血中総ビリルビンを測定した。胆汁はHPLC法にて分析した。更に小脳重量の測定と組織学的に検索した。 [結果とまとめ]部分小腸移植により、全小腸移植と同様にGunnラットの血清総ビリルビン値は有意に低下した。胆汁中の抱合型ビリルビンは有意に増加した。さらに、減黄およびビリルビン抱合能の改善は移植腸管の長さに依存する傾向にあったが、移植部位(回腸・空腸)による差は認められなかった。小脳の低形成に関しては、重量からみると移植による改善はみられなかった。 以上、部分小腸移植において、B UDP-GTの補充が可能で、部分小腸移植が酵素補充を目的とする代用肝の一助となりうることが示唆された。
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