研究概要 |
本年度は熱傷モデルの作成と,Bacterial Translocation(BT)の評価方法を確立する計画であった。Wistar系ラット雄200gを全身麻酔下に,背部および腹部を剃毛し,専用の開窓シリンダーに固定する。沸騰した湯に一定時間浸漬し,体表面積の20%および40%のIII度熱傷を作成した。 中心静脈を確保し定量ポンプで輸液を行い,24〜72時間後に再度麻酔をかけ,無菌的に開腹する。腸間膜リンパ節・肝臓・脾臓を採取し,これを培養する。24〜48時間後に発生したコロニー数をカウントし,それぞれの臓器におけるBTの程度を評価した。また同時に,盲腸内容の希釈培養により,腸内細菌数を定量した。 以上の実験系より,ラットの20%および40%熱傷におけるBTの量を測定することで,侵襲の程度の違いがもたらすBTへの影響について検討した。そこで単位腸内細菌数あたりの腸間膜リンパ節への転移量が,BTの評価において,重要な指標になることを考察した。そしてこの指標を腸(G)-腸間膜リンパ節(M)BT ratio(G-M BT ratio)として提唱し,平成5年度日本救急医学会総会に報告した。 また同様の実験系で,熱傷受傷後24・48・72時間後のBTを定量する事で,その経時的変化の観察を行い,G-M BT ratioを用いてこれを評価した。この結果は第4回日本外科学会総会(3月29日)に報告の予定である。
|