研究課題/領域番号 |
05671025
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
榎本 耕治 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (70051365)
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研究分担者 |
石井 誠一郎 川崎市立川崎病院外科, 医長 (00146614)
和田 徳昭 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10245524)
池田 正 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70124930)
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キーワード | 乳癌 / 骨転移機序 / 動物モデル / 破骨細胞 / ビスホン酸 / 酒石酸抵抗性酸フォスホターゼ / ピリヂノリン |
研究概要 |
乳癌骨転移の生物学的特性を検討する目的で、ラット乳癌細胞株(c-SST-2細胞)による骨転移モデルを用いた(1)in vitro、(2)in vivoの研究により平成6年度に得られた知見は下記の通りです。 (1)骨組織に対するc-SST-2細胞の特性を検討するために、ラット胎児骨の培養上清を用いてinvas ion assayを行うと、対照に対して有意に浸潤する細胞が多かった。骨代謝産物によりの増殖浸潤能が増加していることが示された。Ca release assayによる骨吸収の検討では、培地に破骨細胞刺激因子であるIL-Iβを添加すると有意に促進され、破骨細胞抑制剤であるビスホン酸(bispho sphonate:BP)を添加すると有意に抑制された。しかし、c-SST-2細胞の培養上清では明らかな傾向をみとめなかった.このことは骨転移巣におけるc-SST-2細胞が骨吸収を直接惹起する因子を分泌しておらず破骨細胞刺激をおこすメディエィタ-の介在が推測された。 (2)c-SST-2細胞による動物骨転移モデルを用いて、破骨細胞の活動を反映する血清中の酒石酸抵抗性酸フォスホターゼ(以下TrACP)を測定すると、骨転移形成の初期において上昇がみとめられ、初期における破骨細胞の活性化が示唆された。また、BPを動物に前投与して破骨細胞の活性を低下させておくと骨転移の形成率は低下し、骨転移を形成したものにおいても骨吸収のマーカーであるピリチノリンの低下をみとめた。以上の知見から骨転移の形成には破骨細胞の活性化が密接に関連していることが考えられるが、特性の異なった乳癌培養細胞を用いて骨転移形成能を検証する必要があると考え、ヒト乳癌細胞株を用いたin vitro,in vivoの実験を進行中である。
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