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1994 年度 研究成果報告書概要

乳癌における骨転移機構の解明に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 05671025
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 外科学一般
研究機関慶応義塾大学

研究代表者

榎本 耕治  慶應大学, 医学部, 助教授 (70051365)

研究分担者 石井 誠一郎  川崎市立川崎病院, 外科, 医長 (00146614)
和田 徳昭  慶應大学, 医学部, 助手 (10245524)
田村 光  慶應大学, 医学部, 助手 (30227285)
池田 正  慶應大学, 医学部, 助手 (70124930)
研究期間 (年度) 1993 – 1994
キーワード乳癌 / 骨転移機序 / 動物モデル / 破骨細胞 / ビスホン酸 / 酒石酸抵抗性酸フォスホターゼ / ピリヂノリン
研究概要

1.ラット骨転移モデルの作成:高転移能を有するSHRラット自然発生乳癌細胞(c-SST-2細胞)を用いての実験的骨転移は、胸部大動脈内にカニュレーション下に接種することにより従来の方法より手技はやや煩雑であるがより安全で転移率は高かった。また、経時的な転移骨組織の組織学的検討から転移の成立進展様式はヒト剖検例の研究結果と近似しており、骨転移マーカーの変動との相関も良好であった。
2.高骨転移株のクローニングは骨転移組織より癌細胞を取り出すことに難点があり今だ成功していない。
3.骨組織に対するc-SST-2細胞の特性を検討するために、ラット胎児骨の培養上清を用いてinvasion assayを行うと、対照に対して有意に浸潤する細胞が多かった。骨代謝産物によりの増殖浸潤能が増加していることが示された。Carelease assayによる骨吸収の検討では、培地に被骨細胞刺激因子であるIL-IBを添加すると有意に促進され、破骨細胞抑制剤であるビスホン酸(bisphosphonate:BP)を添加すると有意に抑制された。しかし、c-SST-2細胞の培養上清では明らかな傾向をみとめず、骨転移巣におけるc-SST-2細胞は骨吸収を直接惹起する因子を分泌しておらず破骨細胞刺激をおこすメディエイタ-の介在が推測された。
ラット骨転移モデルを用いて、破骨細胞の活動を反映する血清中の酒石酸抵抗性酸フォスホターゼ(以下TrACP)を測定すると、骨転移形成の初期において上昇がみとめられ、破骨細胞の活性化が示唆された。また、BPを動物に前投与して破骨細胞の活性を低下させておくと骨転移の形成率は低下し、骨吸収のマーカーであるピリヂノリンの低下をみとめた。以上の知見から骨転移の成立には破骨細胞の活性化が密接に関連していることが考えられた。今後、特性の異なった乳癌培養細胞を用いて骨転移形成能を検証し、骨髄内の正常細胞と癌細胞のinteractionの解明により乳癌細胞における骨転移特異性を明らかにできると考えられる。

  • 研究成果

    (11件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (11件)

  • [文献書誌] 石井誠一郎: "骨転移の病態へのアプローチ-動物乳癌骨転移モデルを用いて-" 実験医学. 12. 1050-1054 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 田村 光: "Evaluation of the therapeutic efficacy of BP to bone metastasis of breast cancer in a rat model" American association for Cancer Research. 85. 467 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 石井誠一郎: "BisphosphonateのIL-βによる骨吸収抑制効果" 日本癌学会総会. 53. 325 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 石井誠一郎: "ラット乳癌骨転移モデルを用いたBisphosphonateの骨転移予防効果" がん転移研究会. 8. (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 田村 光: "乳癌骨転移における尿中Pyridinium crosslinksの有用性に関する実験的臨床的検討" 日本外科学会総会. 94. 187 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 石井誠一郎: "The inhibition of osteoclast can prevent bone metastasis in a rat model" American association for Cancer Research. 86. (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Seiichiro Ishii: "An approach to behavior of the breast cancer cells in bone metastasis in a rat model." Experimental medicine. vol 12. 1050-1054 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Hikaru Tamura: "Evaluation of the therapeutic efficacy of RP to bone metastasis of breast cancer in a rat model." American association for Cancer Reserch. 85. 467 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Seiichiro Ishii: "An influence of bisphosphonate on bone absorption increased by IL-1B." Japanese association for Cancer Research. 53. 325 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Hikaru Tamura: "Pyridinium cross links in urine in a rat model with bone metastasis of breast cancer." Japan Surgical Society. 94. 187 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Seiichiro Ishii: "The inhibition of osteoclast can prevent bone metastasis in a rat model." American association for Cancer Research. (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1996-04-15  

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