サブトラクション・ハイブリダイゼーションによる新しい転移抑制遺伝子のクローニング

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05671026
• 研究機関: 慶応義塾大学
• 研究代表者: 久保田 哲朗 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00118944)
• キーワード: サブトラクション・ハイブリダイゼーション / 肝臓癌 / 転移抑制遺伝子 / クローニング

研究概要

肝臓癌の発生に伴い、過剰に発現する新しい癌関連遺伝子をクローニングし、今までにない新しい角度から肝臓癌の発生、進展との関連を検討することを目的とした。
外科的に切除された肝臓癌組織(T)およびその非癌部組織(N)のサンプリングを行い、超遠心法によるトータルRNA抽出ののち、oligo(dT)Latex法によるmRNAの精製を行った。oligo(dT)プライマーを用いたcDNAの合成し、lambdagt10ファージDNAへの組み込みを行い、大腸癌へのトランスフェクションを行った。癌部(T)mRNAから一本鎖のcDNA(sscDNA)を作製し、サイズセレクト、アルカリ処理後、非癌部(N)mRNAとわれわれが改良を加えたハイブリダイゼーション溶液中でハイブリダイゼーションを行った。特異的なsscDNAとTNに共通に存在するためにできるT-cDNA/N-mRNAハイブリッドおよび余分なN-mRNAをハイドロキシアパタイトおよびグラスミルクで分離・精製した。
以上のサブトラクション・ハイブリダイゼーションをもう一度繰り返して、より純度の高いT特異的sscDNAを作製し、ランダムプライミング法により標識してサブトラクション・プローブとして使用した。最大のcDNAは1231の塩基ペアを有し、312のアミノ酸をコードしていた。蛋白配列はフィブリノーゲンのbetagammaサブユニットと相同性を有しており、他のフィブリノーゲン関連蛋白とも相同性が認められた。また、このgeneの発現をラットの各種臓器、ヒトの細胞株を用いて検討したところ、肝癌における特異性が高かった。

研究成果

• [文献書誌] Furukawa,T.et al.: "Immonochemotherapy prevents human colon cancer metastasis after orthotopic onplantation of histologically intact tumor tissue" Anticancer Research. 13. 287-292 (1993)
• [文献書誌] Kuo,T.et al.: "Early resection of primary orthotopically-growing human colon tuinor in nude mouse prevents liver metastasis" Anticancer Research. 13. 293-298 (1993)
• [文献書誌] Furukawa,T.et al.: "Differential chemosensitivity of local and metastatic human gastric cancer after orthotopic fransplantation of histolosically infacttiss" International Journal of Cancer. 54. 397-401 (1993)
• [文献書誌] Kuo,T.et al.: "Site-specitic chevrosensitivity of human small-cell lung carcinoma orth0topically Grown compared to sc in SCIDinice" Auticancer Research. 13. 627-630 (1993)
• [文献書誌] Furukawa,T.et al.: "A novel“patient-like"freatment model of human pancieattc cancer constructed using orthotopic transplartation" Cancer Research. 53. 3070-3072 (1993)