研究課題/領域番号 |
05671029
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
小崎 正巳 東京医科大学, 医学部, 教授 (30096309)
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研究分担者 |
平野 俊彦 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (90173252)
吉田 雅治 東京医科大学, 医学部, 講師 (60146537)
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キーワード | 腎移植患者 / 免疫抑制剤投与法 / グルココルチコイド / リンパ球感受性 / 急性拒絶反応 |
研究概要 |
今年度は、腎移植の臨床の免疫抑制剤として用いられているglucocorticoidについてリンパ球の薬剤感受性を検査する方法を開発し、その成績と急性拒絶反応との関係を検討した。1)検査方法:腎移植患者の抹消血よりリンパ球を分離し、それを約5mlのRPMI-1640培地で3回洗浄後、リンパ球数が1×10^6/mlになるように培地で希釈調整した。このリンパ球懸濁液をplateの各wellに分注した後、最終濃度が5ng/mlになるようmitogenとしてCon Aを添加し、さらに最終濃度が0、0.1、10、100、1,000ng/mlとなるように5種類のプレドニゾロン・エタノール溶液を4nlずつ添加した。次いで37℃下、5%CO_2中で80時間培養後、[^3H]チミジンを各wellに添加し、さらに16〜20時間培養後細胞をharvestして、液体シンチレーションカウンターで細胞内に取り込まれた[^3H]チミジンの量を測定した。そしてリンパ球の幼若化を50%抑制するプレドニゾロン(PSL)濃度[inhibition dose(ID_<50>値)]でリンパ球のPSL感受性を測定した。2)研究結果:腎移植患者40例について移植前にPSL-ID_<50>値を測定し、それと急性拒絶反応との関係を検索した。その結果、術後3カ月以内に急性拒絶反応を発生した21例(拒絶群)と急性拒絶反応を発生しなかった19例(非拒絶群)では、レシピエントの年令、グラフトの種類(生体腎と死体腎の数)、術前輸血を受けた症例数、免疫抑制法、HLA-AB並びにDRの不適合数等に関しては両群間に差を認めなかったが、PSL-ID_<50>値は、拒絶群では、466.4±461.9ng/mlであるのに対し非拒絶群では118.8±233.7ng/mlで、拒絶群に有意に高かった(p<0.01)。すなわちリンパ球のステロイド感受性が低い症例では急性拒絶反応が発生しやすいことから、移植後ステロイドの減量は慎重に行う必要があることが判明した。
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