研究概要 |
Adult respiratory distress syndrome(ARDS)の病因として重要視されている血管透過性亢進の惹起される機序を明らかにすることにて、発症機序に即した根本的な治療法の確立を試みることを目的とし現在検討を行っている。実験的ARDSモデルは、低濃度LPS/PAF法(Rabinovici,1991)に基づきLPS(0.1ug/kg)静注後PAF(1pmol/kg/min)1h持続静注法でラットを用い作成を試みたが満足する血管透過性の亢進が認められなかった。その後様々な検討を加えた結果使用動物をモルモットに変更しLPS/PAF投与は、LPS(50ug/kg)静注後PAF(40pmol/kg/min)15分持続静注を開始時および4時間後に2回行い、2回目の投与2時間後にBALFを採取する方法に変更した。BALF中のGSH量は当初の予想に反し、ARDSモデル(6h後)においてむしろ増加していた。 BALF内GSH量の増加原因として現在予想しているのは1)測定ポイントが6h後の1回のみであるためすでに低下している時期を過ぎ代償性の増加時期をとらえている。現在測定ポイントを増やして測定中である。2)BALF内GSHの役割およびその起源が不明である現在断定はできないが、肺実質細胞GSHとBALF内GSH間における何らかのやり取りの結果BALF内GSH量が規定されると仮定すれば、肺実質細胞内GSHの経時的解析が解決の糸口になると思われる。現在潅流脱血肺におけるGSH量の測定を行っている。
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