acute respiratory distress syndrome(ARDS)は、lipopolysaccharide(LPS)などにてマクロファージ並びに血管内皮細胞が活性化され、肺毛細血管周辺の炎症カスケードが進行しその結果、血管内皮細胞障害が引き起こされ発症すると考えられている。しかしながら炎症性mediatorの一つであるnitric oxide(NO)のARDSにおける関わりは、現在のところ明らかになっていない。このNOが、血管透過性亢進を引き起こすmediatorの一つとして関与しているか否かを明らかにするために以下の検討を行った。モルモットに0.5mg/kg体重のLPSを静注することにてARDSモデルを作製した。肺血管透過性はサンプリングの2時間前に静注したFITC標識dettranのBALF内への漏出量にて判断した。またNOS活性の抑制はLPS投与後3時間にL-NAME(5mg/kg体重)を皮下投与する事にて行った。LPS投与後2時間ですでに透過性の亢進が認められ、6時間後には前値の約3倍の増加を示した。血液中NO_2+NO_3量は、前値と比べ投与後4時間後に2倍、6時間で3倍の増加を認め、NOの産生がLPSにて亢進していることが明らかである。NO産生を抑制する目的でL-NAMEを前処置したところ、亢進した透過性および増加した血中NO_2+NO_3量は、いずれも有意に抑制された。この結果よりLPS投与後産生される過剰なNOは、肺血管透過性亢進を引き起こすmediatorの一つであることが推測された。LPSによる肝障害発生機序に関して活性酸素を産生しうるXanthine oxidaseの関与がタングステン食およびアミノトリアゾール投与にて明らかになった。
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