研究概要 |
<研究目的> 小腸移植は欧米において臨床応用段階に入ってきている。しかし、移植腸管に対する基礎研究は充分とは言えず、なお多くの問題は先送りされたままである。移植腸管は外来神経から完全に徐神経されるうえに、内在神経並びに腸管平滑筋の連続性も断たれる結果、移植後の生理学的変化は興味深い問題である。最近の研究においても移植腸管の運動性変化及び壁内神経の分布の再生の時期、程度について未だ明らかでないそこでLewisラットを用いた同系小腸移植モデルを作製し、移植条片をマグヌス装置を改良した表面灌流装置を用いて経時的運動性変化を調べた。 <研究方法> Lewisラット(♂、BW200〜300g)を用い、Monchik& Russel法に準じて、移植腸管は同所性に同系全小腸移植を行った。移植後1W目(n=4,group G1)、2W目(n=4,group G2)、4W目(n=4,group G4)およびコントロール群(n=5,group C)の空腸を採取し、縦走筋方向の筋条片を作製した。これらを表面灌流装置に懸架し、電気刺激を加え、等尺性に筋条片運動を記録し、比較検討した。電気刺激は1.0msec,20V,0.5-20Hzで10秒間とした。 <結果> 【.encircled1.】コントロール群、移植群の筋条片はいずれも律動性自動収縮を示し、電気刺激により周波性依存性で刺激直後の弛緩成分に続く収縮成分と二相性反応を示した。 【.encircled2.】移植条片の収縮成分反応は、コントロール群に比して有意に増強した。弛緩成分反応は移植群はコントロール群と有意な差は認めなかった。
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