目的:小腸移植の際外来神経の絶たれた条件下で移植片の壁内神経の変化を電気生理学的手法を用い移植後4週目まで検討した。その結果移植後2週目まではコリン作動性分画の割合が増加、4週目では逆に減少、それに変わる非アドレナリン・非コリン作動性分画の割合が増加したことを確認した。今回移植後2年目の長期生存ラットを同手法を用いて検討した。 方法:成熟Lewisラット(♂BW 200-300g)を用いMonchik & Russelの方法に準じてSyngeneicに全小腸移植を行った。成熟無処置群(AC)、移植後4週目群(AT)、老齢無処置群(OC)、移植後2年目群(OT)の空腸を採取し表面灌流装置に懸架し電気刺激を加え各種遮断薬を用い、等尺性に筋条片運動を記録し比較検討した。 結果:1.すべての群にatropine(10^<-6>M)、TTX(10^<-6>M)存在下によって、収縮成分をatropine sensitive+TTX sensitive;コリン作動性分画、atropine insensitive+TTX sensitive;非コリン作動性分画、TTX insensitive;筋原性分画の3つに分け、10Hzで全収縮力を100%とし検討した結果、コリン作動性分画の割合は(AT)(OT)の移植群は共に24%と無処理群(AC)45%(OC)32%に比して減少した。筋原性分画は(AC)25%、(AT)20%、(OC)23%、(OT)26%と変化するが、筋収縮力は(OT)は他の各群と有意な差を認めた。2.同様にアドレナリン作動性神経系の関与を検索するため、atropine(10^<-6>M)、guanethidine(5×10^<-6>M)共存下、TTX(10^<-6>M)存在下に収縮成分をatropine、guanethidine sensitive+TTX sensitive作動性分画、atropine、guanethidine insensitive+TTX sensitive;非アドレナリン・非コリン作動性分画、TTX insensitive;筋原性分画の3つに分けて検討した結果、非アドレナリン・非コリン作動性分画の割合は移植群(AT)73%、(OT)69%と無処置群(AC)56%、(OC)60%に比して増加した。
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