1。黄疸時に血中に増加する胆汁酸とビリルビンのモルモット胃幽門部重炭酸イオン分泌に及ぼす影響を、in vitroの系で検討し次のような結果を得た。(1)0.1-5mMのタウロコール酸は基礎分泌には有為な変化を与えなかったが、ベサネコール(BCh)刺激による分泌促進反応を濃度依存性に抑制した。(2)0.1-1mMのコール酸も、BCh刺激による重炭酸イオン分泌反応を抑制した。(3)ビリルビン(0.24mM)を投与すると基礎分泌には影響を与えなかったが、BCh刺激による分泌反応を低下させた。以上より、胆汁酸やビリルビンは、閉塞性黄疸時に見られる血中濃度範囲内で胃幽門部重炭酸イオン分泌を抑制することが明らかになった。 2.胃幽門腺粘液分泌に及ぼす胆汁酸とビリルビンの効果を検討するため、切り出した粘膜をビデオ強化型顕微鏡下で観察することにより、粘液分泌反応を検討する系の確立を目指し、次のような結果を得た。(1)カルバコール(CCh)は、濃度依存性に粘液分泌を亢進した。(2)プロスタグランジンE2は、それ自身は分泌刺激は弱かったが、CChの分泌刺激を増強した。(3)ヒスタミンは、プロスタグランジンE2存在下で著明な粘液分泌刺激効果を表した。以上の結果より、今後胆汁酸やビリルビンの幽門腺粘液分泌に対する影響を検討できる系が確立したといえる。
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