研究概要 |
BOP誘発ゴールデンハムスター膵癌の皮下移植継代腫瘍のある一定の大きさ(重量)の細片を,6週齢の雌ゴールデンハムスターの背部皮下に移植し,性ホルモンの影響についてホルモン環境の異なる7群を設けて比較検討中である. 1.両側卵巣摘出群と単開腹(対照)群では,移植後の腫瘍増殖の経時的変化に差を認めなかった.また,摘出した両群の腫瘍組織のERおよびPgRはDCC法では陰性で,病理組織学的検索でも差異はなかった.以上より,卵巣摘出はBOP誘発膵癌のゴールデンハムスター移植による腫瘍増殖過程に,影響を及ぼさなかったと考えられた. 2.他の群間については現在比較検討中である. 3.この継代腫瘍組織のERが陰性のために,性ホルモンの影響の差が現れにくいと考えられる.そこで現在,すでに樹立された膵癌細胞株3種を入手し,そのERの生化学的定量と免疫組織学的検討を行っている.さらに,細胞株3種をそれぞれヌードマウスに移植し固形腫瘍を作製中である.そして,in vitroでの細胞レベルと,in vivoでの固形腫瘍とで前記の性ホルモンの影響について検討の予定である. 4.新たに臨床的に得られた腹水中のヒト膵癌細胞と前記のBOP誘発ゴールデンハムスター膵癌の細胞株樹立をめざしている.そして,in vitroおよびin vivo両面での同様の検討を予定している.
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