研究課題/領域番号 |
05671046
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
澤田 俊夫 東京大学, 医学部(病), 講師 (50143441)
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研究分担者 |
斉藤 幸夫 東京大学, 医学部(病), 助手 (50178513)
山形 誠一 東京大学, 医学部(病), 助手
樋口 芳樹 東京大学, 医学部(病), 医員
篠崎 大 東京大学, 医学部(病), 医員
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 大腸癌 / dysplasia / p53 / K-ras |
研究概要 |
潰瘍性大腸炎に合併する癌および、その前癌病変と考えられているdysplasiaの形態は通常の大腸癌と比べ(1)形態が扁平である、(2)多発傾向がある、(3)周囲に異型度の異なる病変を合併しやすい、などの特徴がある。また一般に癌の特徴はその遺伝子変化に裏打ちされているといわれる。したがって、通常の大腸癌と潰瘍性大腸炎に合併した大腸癌との遺伝子変化が異なることが予想される。 昨年度の研究では、通常の大腸癌および腺腫では60〜70%程度の差異が認められるK-rasの遺伝子変化が、潰瘍性大腸炎に合併した癌・dysplasiaでは10%程度の差異しか認められず明らかな差異が認められた。 本年の研究は、主として癌抑制遺伝子とされるp53について検討した。方法としては、パラフィン固定された切除標本について、p53のモノクローナル抗体(DO-7)を一次抗体として免疫組織学的に染色しp53蛋白の異常発現の有無を検討した。結果は、癌では検討した7例全例で、核に一致してp53蛋白が濃染された。Dysplasiaでは5例中3例でp53蛋白の明らかな染色が認められ、他の1例では薄い染色が得られた。 p53蛋白の濃染像はp53の変異による蛋白代謝の遅延によるものといわれ、遺伝子的な異常と考えられる。薄い染色については遺伝子変異によるものか、あるいは腺腫で認められる過剰発現によるものか今後の検討が必要である。いずれにせよ、p53変異は通常の大腸癌に大して潰瘍性大腸炎に伴った癌でより高く、通常の腺腫よりも潰瘍性大腸炎のdysplasiaでより高い傾向が認められた。ただし、まだ症例数が少なく今後の検討が必要と思われる。
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