研究分担者 |
山形 誠一 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
木村 理 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (00169947)
和田 祥之 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (70107647)
黒田 慧 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (70010270)
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研究概要 |
膵管上皮増生巣の前癌病変としての意義を検討する目的で,本研究は膵管上皮の特に異常を伴なう増殖性病変を中心に顕微蛍光測光法を用いて核DNA量の分析を行い,組織異型度と対比検討したので,以下のようにまとめた. 切除膵(38例)から得られた膵管正常上皮(10)、膵管上皮増生巣(98)、湿潤癌巣(23)計131病巣について,細胞単離・顕微蛍光測光法により核DNA量を測定し,そのploidy patternを解析し各病変の組織異型度と対比検討した。その結果,正常膵管上皮と異型度I-II群の膵管上皮増生巣はほとんどdiploidyを示し,I-II群の異型上皮からpolyploidyが見られ,III群の異型上皮からploidyの増加とともにaneuploidyが出現増加し(p<0.01),湿潤癌巣では後者が73.9%を占めた。更らに,病変の増殖活性を表すS・G_2M期細胞とpolyploid cellの出現頻度は異型度に相関して増加した。以上のように膵管上皮増生巣は異型度の上昇とともにpolyploidy,aneuploidyの出現・増加,増殖活性の亢進を示し,膵の上皮内癌・湿潤癌巣へ連がる一連のsequenceにおける前癌性病変として位置付け得ることが裏付けられた。遺伝子としてRAS,p53,APCについて検索したが、十分な結果は得られなかった。
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