研究概要 |
本研究は胆道癌の切除に強く影響する大血管侵襲という点に関して,血管内腔側から観察するという従来とは異なった方法で胆道癌のresectabilityを検討した.具体的には,血管内超音波検査の施行方法における基礎的検討と,得られた所見の判定基準およびresectabilityの検討である.対象例は肝十二指腸靱帯への浸潤が疑われる胆嚢癌,肝外胆管癌,膵癌,および下大静脈への浸潤が疑われた肝腫瘍の36例に対して血管内超音波検査を施行した.その内訳は,胆嚢癌5例,肝外胆管癌9例,膵癌10例,肝腫瘍10例,その他2例であった.この36例中34例で所見をえられ,さらに34例中13例で目的血管に何らかの異常所見を認めた。3例では切除標本と対比した。すべての症例でresectabilityの判定に有用な情報が得られた.今回の血管内超音波検査を用いた胆道癌における血管侵襲の検討は,門脈系および下大静脈に対する癌の進展が従来の検査法に比較してより正確に診断でき、肝胆膵癌の血管合併切除の適応判定に有用であることが示唆された点で意義あるものと思われた.これが長期予後改善に貢献するかに関しては今後更に検討を要する.
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