研究課題/領域番号 |
05671056
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
藤井 秀樹 山梨医科大学, 医学部, 助手 (30181316)
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研究分担者 |
長堀 薫 山梨医科大学, 医学部, 助手 (00137035)
山本 正之 山梨医科大学, 医学部, 講師 (30158307)
松本 由朗 山梨医科大学, 医学部, 教授 (20159156)
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キーワード | Direct Deep Black Extra / マウス肝細胞癌 / proliferating cell nuclear antigen / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / 多中心性発癌 |
研究概要 |
今年度は、肝細胞癌の臨床材料の収集と、肝細胞癌の多中心性発癌動物モデルの確立を、主たる目的として研究を展開した。 1.肝細胞癌の臨床材料の収集に関しては、申請者らの提唱している病理組織学的なクライテリアから判断して、多中心性発癌と考えられる8例を含めて20例,27検体を獲得することができた。これらの検体は、現在、凍結保存中である。 2.肝細胞癌の多中心性発癌動物モデルの確立:8週齢のSCR-ICR雄性マウスに、ベンチジン系染料であるDirect Deep Black-Extra(以下DDB-EXと略す)を、0.3%の濃度に調整した水溶液を50週間、自由に摂取させた。50週後の肝腫瘍発生率は80%と高率であった。また、腫瘍は肝内に多発する傾向が認められた。対照としたDDB-EX非投与群に腫瘍の自然発生は認められなかった。組織学的に腫瘍は肝細胞由来の癌であり、胆管上皮細胞由来の組織や肝硬変は認められなかった。更に、腫瘍はdanomatous hype rplasiaから脂肪化を伴う高分化型、更に、中分化型、低分化型肝細胞癌まで、臨床例と同様、種々の分化度を示した。proliferating cell nuclear antigen(PCNA)免疫染色ではその陽性率は分化度と相関する傾向が認められた。一方、alpha-feto protein(AFP)免疫染色では60%が陽性であったが、分化度とのあいだに相関は認められなかった。P53癌抑制遺伝子に関しては、検索し得たExon 5からExon 8に点突然変異は認められなかった。また、Ki-,Ha-ras癌遺伝子の点突然変異は、Ki-ras癌遺伝子ではExon 1 codon 12に17%、Ha-ras癌遺伝子ではExon 2 condon 61に35%の点突然変異が認められた。なお、これら癌遺伝子の変異と癌の分化度との関係は現在検索中である。
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