研究課題/領域番号 |
05671056
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
藤井 秀樹 山梨医科大学, 医学部, 助手 (30181316)
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研究分担者 |
長堀 薫 山梨医科大学, 医学部, 助手 (00137035)
山本 正之 山梨医科大学, 医学部, 講師 (30158307)
松本 由朗 山梨医科大学, 医学部, 教授 (20159156)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 肝細胞癌 / 多中心性発癌 / 遺伝子解析 / α-fetoprotein / 癌遺伝子 / B型肝炎 / マウス肝細胞癌モデル / Direct Deep Black Extra |
研究概要 |
報告者らの研究目的は肝細胞癌の発生進展に伴う遺伝子変化を解明し、これと並行して多中心性発癌ならびに肝内転移の分子遺伝学的鑑別法ならびにその発育様式の推定因子の同定と検索方法の確立であった。後者に関しては、ヒト肝細胞癌のB型肝炎ウイルスDNAのintegration patternの解析と病理組織学的な解析との対比から、多中心性発癌を病理組織学的に判定し得る結果を得た。しかし本邦ではC型肝炎羅患症例が肝細胞癌の多数を占めており、現在C型肝炎ウイルスRNAの解析による判定法を検討中である。更に、今後はp53癌抑制遺伝子によるクロナリティーの解析から多中心性発癌の証明が可能か否かを検討する予定である。一方、肝細胞癌の進展に伴う遺伝子変化の解析に関して、臨床例で前癌病変から高度進行癌までの病変を一連の変化として把えることは困難であった。そのため、ヒト肝細胞癌に類似した動物モデルの開発が必要であった。そこで、アゾ色素の一種であるDirect Deep Blach Extra(DDBEx)をマウスに経口投与し、肝腫瘤を作成した。同腫瘤は多中心性に発生し、腺種から低分化肝細胞癌まで分化度が異なり、しかも胆管細胞由来の成分を全く有さない肝細胞癌であった。またヒト肝細胞癌同様、-fetoproteinの発現を認め、更に、その発現は分化度により異なる異なることが明らかとなった。分子生物学的にも、Ki-ras,Ha-ras癌遺伝子の突然変異の存在も明らかにした。現在このモデルのp53癌抑制遺伝子の解析を行っているところである。以上のごとく、このモデルの確立により、肝細胞癌においてもadenoma-carcinoma sequenceが存在し、多段階的に種々の遺伝子変化が関与している可能性が示された。マウス肝細胞癌モデルの開発により、その発癌過程における種々の遺伝子変化を検索することが可能となり、遺伝子変化の種類からヒト肝細胞癌の進行度を判定し臨床応用することを今後の課題としたい。
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