研究課題/領域番号 |
05671058
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
神谷 順一 名古屋大学, 医学部, 講師 (70194975)
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研究分担者 |
宮地 正彦 名古屋大学, 医学部, 助手 (80242874)
梛野 正人 名古屋大学, 医学部, 助手 (20237564)
金井 道夫 名古屋大学, 医学部, 助手 (50242871)
近藤 哲 名古屋大学, 医学部, 講師 (30215454)
二村 雄次 名古屋大学, 医学部, 教授 (80126888)
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キーワード | 胆汁うっ滞 / ミトコンドリア / 酸化的リン酸化 / 区域性胆汁うっ滞 / 胆管炎 / 胆管癌 / 外科学 / 分子生物学 |
研究概要 |
1.区域性胆汁鬱滞が及ぼす肝細胞障害とその機序:70%領域および90%領域の胆汁鬱滞モデルを作製し、胆汁鬱滞領域と非胆汁鬱滞の肝ミトコンドリア呼吸能、酸化的リン酸化系複合体の酵素活性、酵素量、ミトコンドリアDNAの変化を解析した。70%領域の胆汁鬱滞では、非鬱滞領域の一過性ミトコンドリア機能 進を認めた。90%領域モデルでは、3週以後、非鬱滞領域の酸化的リン酸化能が傷害されていることが判明した。この障害は、酸化的リン酸化系複合体酵素量の減少によって酵素活性が低下したための障害であった。一方、核DNAは、有意に増加し、非鬱滞領域の肝実質肥大とよく対応した。しかし、この肝実質の肥大を認め、血液中の生化学的検査値が正常であっても肝ミトコンドリアが傷害されていることが判明した。 2.臨床例の解析:術前、術中の各因子を解析した結果、術前の区域性胆管炎が、胆道癌に対する肝切除後の経過を左右する重大な危険因子であること、区域性胆管炎の治療には、胆汁を選択的にドレナージする以外無効であることが明らかとなった。現在、手術時に得られる肝組織をもとに分子生物学的、生化学的分析を行っている。 3.区域性胆汁鬱滞作製後の肝切除:モデル作製が困難で安定した結果が得られず、変更を余儀なくされた。 4.胆管炎が及ぼす肝細胞障害の解明:閉塞性黄疸、および胆管内にE.Coli2x10を注入して肝全域の胆管炎モデルを作製し肝細胞を解析した。閉塞性黄疸下では、脱共役による酸化的リン酸化の障害による著しいエネルギー不足によるミトコンドリアDNAが増加し、電子伝達系酵素量、酵素活性ともに代償性増加を認めた。これに胆管炎が加わるとさらに酸化的リン酸化能は障害されるが、その機序は閉塞性黄疸単独と同様である。胆汁鬱滞を解除した場合、たんかんえんを合併しているとミトコンドリア機能の回復が有意に遅れることが判明した。この知見をもとに今後区域性胆管炎による肝ミトコンドリアの変化を検討する。
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