研究概要 |
肝細胞癌患者に対して、肝切除を施行し、同時に肝動脈内にカテーテルを挿入、皮下埋め込み式ポートに接続し、肝動注に備える。術後2週目より肝動注免疫療法(recombinant interleukin-2の持続肝動注(800,000JRU/day x6,4週間),OK-432の肝動注(5KE/2W,2回)と筋注(5KE x 3/4W),および極めて少量のadriamycin(10mg/2W,2回)とcyclophosphamide(300mg/2W,2回)の肝動注、famotidine(40mg/day)の経口投与)を施行した。本療法施行12例と非施行38例を比較したところ,施行例の3年生存率が100%であったのに対し,非施行例では60%有意差を認め,本療法の有効性が確かめられた.また,本療法施行後に肝切除を施行した症例の切除標本での検討では,主病巣周囲に著しいリンパ球浸潤を認め,免疫組織染色にてCD8陽性細胞およびHLA-DR陽性細胞が主たるリンパ球であることが判明した.また,抗Fas抗体を使用した免疫組織染色により,リンパ球浸潤部と一致して,肝細胞癌細胞がFas陽性となり,核の断片化も観察された.このことにより,本療法により細胞障害性T細胞が活性・浸潤し,癌細胞をアポトーシスに陥らせることが示唆された.
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