研究概要 |
平成5年度科学研究費(課題番号05671070)による研究成果により、閉塞性黄疸患者に経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)を施行後の胆汁中胆汁酸排泄量と血清7AHC濃度との間には、強い正の相関が認められ、血清7AHC濃度は肝における胆汁酸合成量を反映することが示された。 この結果をもとに血清7AHCのPTBD後の挙動と、術前の肝予備能および術後合併症の頻度の指標であるビリルビン減少率(b値)との相関を検討した。 新たな閉塞性黄疸患者15例にPTBDを施行し、施行前および施行後1,3,5,7,14日目に血液を採取し、血清7AHCと血清総ビリルビンを測定した。今回は、血清7AHCが7日目までに急激に増加し、正常値(238±100pmol/ml.Mean±SD)を越えるものをResponder(R群、6例)、越えないものをNonresponder(N群、9例)と分けると、14日目の血清7AHCはR群では525±83pmol/ml、N群では145±86と著明な有意差が認められた。減黄率b値はR群では-0.234±0.152、N群では-0.057±0.067(P<0.05)と、R群はN群に比べ有意に減黄良好であった。血清7AHCとb値の間には有意な負の相関が認められた。平成5年度の研究により、PTBD後の血清7AHCは肝における胆汁酸合成量を反映するので、減黄の良好な患者では、胆汁酸合成の回復も速やかであると結論した。 以上の2つの研究により、閉塞性黄疸患者の減黄術前後における血清7AHC濃度の変動は、肝における胆汁酸合成量の回復を鋭敏に反映し、手術時期の決定や肝予備能の評価のための新しい検査法として有用であることが証明された。
|