直腸癌の根治手術として行なわれる自然肛門温存術(前方切除術など)の術後の排便異常に関しての研究は直腸肛門機能の面からは多く行なわれてきたが、残存結腸の運動生理学的検討や吸収能の変化による検討はあまり行なわれていないのが現状である。特に直腸癌手術に伴う広範なリンパ節〓清術による自律神経切除によりひきおこされる大腸機能障害の研究は少ない。 今日我々は低位前方切除術後の残存結腸の機能に対して、低位前方切除時に通常行われる広範囲のリンパ節〓清に伴う自律神経切除術が大腸の運動に与える影響に関して検討を試みた。本年度においては切除・吻合といった手術操作による吻合部の〓〓〓の影響を排除した大動脈周囲と〓〓部の自律神経切除術のみを施行した実験モデルを雑種成犬により作成し、術後1ヵ月以上経過時に空腹時と食物摂取時(食後)に腸〓の節電図を測定することにより術後の結腸機能に関してコントロール群と比較して検討してきた。現在までに得られた実験結果より、広範囲におよぶリンパ節〓清により生ずる内臓〓〓の損傷は直腸のみでなく結腸全体の運動に影響を与えていることが示唆された。現在、この影響に関して確認、検証すべくモデル数の増加に努めるとともに、その影響の生ずる原因および機序に関して検討すべく、さらにいくつかのモデルの検討、作成を行っているところである。平成6年度にはその成果を発表可能な見込みである。
|