研究概要 |
Wistar系雄性ラットを用い、四塩化炭素1.5ml/kgを週2回,合計6,9,12週連続投与し,種々の程度の肝障害ラットを作成した。これら肝障害ラットおよび正常ラットにHiggins & Andersonの方法に準じた70%領域肝切除および同領域の門脈枝塞栓術を行い,経日的に肝機能検査値とともに肝再生の指標として肝重量,mitotic index,DNA合成,肝ポリアミン量,オルニチン脱炭酸酵素(ODC)活性を測定した。その結果,肝障害ラットおよび正常ラットのいずれにおいても【.encircled1.】術1日後にAST,ALT,LDH値の上昇がみられた後,漸減した。【.encircled2.】mitotic indexは術3日後に上昇後漸減した。【.encircled3.】DNA合成は術24時間後に最高値に達した後漸減した。【.encircled4.】肝ポリアミン量も術後増加し、以後漸減した。特にプトレッシン量は術直後に増加し,以後漸減した。【.encircled5.】ポリアミン代謝の律速酵素であるODC活性も術直後に増加し,以後漸減した。【.encircled6.】これらの変動は肝障害ラットにおいても認められたが,正常ラットに比較し,低値であり,かつその変動も緩徐である傾向にあった。 以上の組織学的検討と生化学的検討より,門脈枝塞栓術は正常ラットのみならず肝障害ラットにおいても非塞栓葉の肝再生を惹起することが明らかになったが,その程度は正常ラットに比較し,肝障害ラットで緩徐であることが判明した。
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