白色家兎を用い、ペントバルビタール静脈麻酔下に4℃のUW液を50cmH_2Oにて経門脈的に投与冷却した後、肝を採取、灌流装置にて肝灌流を行った。ヒト血は健常ボランティアーより提供をうけた。白血球除去フィルターは市販のフィルター(セパセル;旭メディカル社)を用いた。灌流液はHt20%、pH7.3〜7.5に調整した。 家兎全血での灌流は門脈より0.5ml/kg/minで6時間行ったが、門脈圧は20cmH_2O以下で、肝表面よりの灌流液の漏出もわずかで、安定した灌流が可能であった。白血球を除去した家兎全血を灌流液とする灌流は、白血球を除去しないコントロールと有意の差は認めなかった。cyclosporin A 25mg(0.25mg/ml)を各々に投与した灌流では、門脈圧はコントロールに比べ特に変化はなかった。ブタ血での灌流では、白血球を除去しない群では、灌流開始1時間以内に門脈圧が30cmH_2Oを越え、肝表面からの灌流液の漏出が著明となり、リザーバーの灌流液残量が50ml以下となり、灌流の持続は不可能であった。白血球フィルターを用いたものは門脈圧の上昇が少なかったが、肝表面よりの灌流液の漏出は有意の減少は見られなかった。ヒト血を用いた灌流でもブタ血と同様の結果であった。白血球フィルターの効果は、当初予想していたより少なかったが、CD液にて保存したヒト血、ブタ血は灌流開始時のpHが非常に低く、この補正にかなり大量の炭酸水素ナトリウム液を必要とし、ヘパリン採血による家兎血を使用する灌流との差が出ている可能性が示唆されたので、CD採血による家兎血とヘパリン採血によるヒト血での灌流をおこない検討中である。
|