1.白血球標識:脳の核医学検査で一般に使用されているHMPAO(hexamethy lpropylene amineoxime)を用い白血球にテクネシウムを標識した。被験者からの採血量は40ccで1時間で標識操作を終了した。標識率は90%以上で、標識白血球成分の80.2%は好中球であった。 2.実際の検査:標識白血球静注後3時間で全身のスキャンを行った。通常のstatic imageでは検出感度が低いためSPECTを施行した。採血から検査結果がでるまで4〜5時間で、ガリウムスキャンの2日間に比べ短く比較的緊急な症例にも使用可能と考えられた。 3.臨床成績:炎症・感染巣の存在が疑われた50例にTc-99m HMPAO標識白血球スキャンを施工した。手術、他の検査、臨床経過から判断して最終的に炎症・感染巣が存在したと考えられたのは24例であった。SPECT画像での診断率はTrue Positive 21例、False Positive(FP)2例、True Negative 24例、False Negative(FN)3例でSensitivity 87.5%、Specificity 92.3%と良好な結果であった。FPの2例はいずれも腸閉塞の症例で、腸閉塞では好中球の浸潤が生じる場合があると推測された。FNの3例はいずれも肝膿瘍であり、肝膿瘍では好中球の体内動態が他の部位とは異なると推測された。 4.結論:白血球スキャンは非侵襲的で診断精度も高い。肝膿瘍には適用できないが他の部位の感染・炎症巣の診断には臨床検査として用いることができると考えられた。
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