Wistar系雄性ラットに70%肝切除を施行後3群に分け、それぞれ高濃度分岐鎖アミノ酸輸液、それにグルタミンを付加した輸液、さらに0.01mu/kg/分の速度で肝細胞成長因子を投与した。肝再生の指標として肝組織オルニチン脱炭酸酵素活性を測定すると同時に、肝細胞障害の指標として肝組織過酸化脂質、血清GOT、GPT、LDH、ならびに血中過酸化脂質を測定した。一部のラットでは血中遊離脂肪酸も測定した。またICGクリアランスメータを用いて色素排泄能も検討に加えた。さらに、一部のラットは犠牲死させ肝の組織学的検討を行った。肝再生重量および肝組織オルニチン脱炭素酵素活性は3群間で有意差は認められなかった。また色素排泄能は肝細胞成長因子投与群で他の2群に比べていくらか良好であったが、統計学的有意差は認められなかった。肝組織過酸化脂質、血清GOT、GPTなども3群間に統計学的有意差はなかった。現在、肝切除範囲範囲を90%まで拡大して同様の検討を行っている。また、肝再生の指標としてさらにbromodeoxyuridine投与によるS期細胞の標識率および肝エネルギーチャージも測定している。 平成5年度は正常肝の肝再生を検討してきたが、ラットの肝再生はヒトに比べて著しく迅速であり、必ずしもヒトのモデルとはならない。したがって平成6年度は肝硬変ラットの肝再生も検討するが、thioactamideによる肝硬変ラットは、平成5年度内にほぼ目標数達成できた。
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