研究概要 |
当初、Thioacetamideを20週間投与して作製した肝硬変ラットを用いて実験を施行したが、2/3肝切除によって半数以上が死亡したため、thioacetoamideの投与期間を10週間とし、肝切除範囲も30%に縮小した。このモデルでHGFの肝再生促進効果を検討した。HGFの投与経路は腹腔内投与とし、投与量は100ng/kg/hとした。肝の機能的再生量の指標として術後1、2日目にICGクリアランスメータによって色素排泄能を測定した。術後1日目に色素排泄能は術前の50%まで低下したが、HGF投与による排泄促進効果は認められなかった。また術後3日目にbromodeoxyuridine投与によるS期細胞の標識率を測定したが、両群間で差を認めなかった。 現在、HGFとグルタミンの同時投与による肝再生効果を検討している。 現在までの実験で、HGFのin vivoでの肝再生促進効果は実証できなかった。HGFは肝細胞に特異的な成長因子と考えられていたが、現在では生体内の各種上皮細胞に作用することが確認されている。また、HGFの肝細胞への作用は受容体を介し,co-mitogenと協調して行われることが示されている。これまでの実験でnegative dataしかでなかった一因にHGFの単独投与があったと思われる。従って今後HGFとTGF-α、angiotensin、グルタミンなどのmitogen、co-mitogenと併用投与し、肝再生促進効果を検討すべきであると思う。
|