研究課題
大腸癌の肝転移の機序に関して大腸癌患者の血清ラミニンおよび組織染色ラミニンは癌の進行度とよく相関していることが、今までの平成2年度よりの我々の研究により明らかとなった。今年度は、大腸癌の再発、特に血行性肝転移の予知に有用であるかどうかを検討している。すなわち今までの症例における肝移転症例を詳細に検討し、血清ラミニンおよび組織染色ラミニンの評価を深めたいと思う。以上のことから接着因子であるラミニンが癌細胞の原発巣からの遊離や、肝組織においての着床にいかに作用し影響を与えるのか、そのメカニズムを解明したいと思っている。また胆汁中のCEAを測定すると、肝転移症例の胆汁中CEA値は明らかに高く、肝転移の予知に有用であると思われる。この事に関しては、平成4年度の研究報告書に述べている。しかし安定した測定方法が未だ確立されておらず、現在我々は今まで一般的に利用されている生理食塩水や血清による希釈法、Bufferによる類似物質除去法、超音波前処置により胆汁中の粘張度を落とし測定誤差を少なくする方法などの前処理法を比較検討している。またCEAに関しては胆汁に限らず、組織染色のCEAの動態、血清CEAのダブリングタイムなど総合的に検討を行いたいと思い、現在症例を集め基礎的データを蓄積している状態である。以上のように、大腸癌の肝転移を予知できるマーカーとして、現在我々は、ラミニンとCEAとに注目をして検討しているが、その他のマーカーとなるものがないかどうかも、平行して検索している。
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