研究課題/領域番号 |
05671098
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
磯崎 博司 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (50151436)
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研究分担者 |
秋元 寛 大阪医科大学, 医学部, 助手 (70278513)
原 均 大阪医科大学, 医学部, 助手 (40247846)
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キーワード | 肝阻血 / 阻血加肝切除 / 細胞内カルシウム / Ca^<2+>拮抗剤 / 敗血症 / lipopolysaccharide |
研究概要 |
肝阻血による肝障害:CCl_4経口投与により肝硬変ラットを作成し、阻血後肝切除モデルにおける肝細胞障害を検討した。阻血様式を、I群:60分連続阻血群、II群:30分反復阻血群、III群:15分反復阻血群の3様式とした。生存率はIII群が最も良好で、阻血再灌流後の肝細胞内Ca濃度、肝逸脱酵素はIII群で最も低値を示した。また、ATPおよびenergy chargeの回復もIII群において最も良好であった。以上より、肝予備能の少ない肝硬変に対する肝切除を行う場合、その阻血方法としては1回阻血時間の短い反復阻血法が採用されるべきであると考えられた。 敗血症による肝障害:Lipopolysaccharide(LPS)持続静注によるラット敗血症モデルにおいて、LPS投与後3時間で肝類洞内皮細胞障害の指標である血清purine nucleoside phosphorylase(PNP)活性が上昇し、肝ミトコンドリア(Mt)内Ca濃度の上昇がみられた。その後、肝逸脱酵素の上昇と肝Mt呼吸能の低下が見られ、肝細胞質内Ca濃度が上昇した。また、Gadolinium chlorideにてKupffer細胞機能を抑制したラットでの実験で、血清PNP活性が抑制され、肝障害は抑制された。以上より、LPSによる肝障害発生にはKupffer細胞の活性化による肝類洞内皮細胞障害が関与していた。類洞循環障害の結果、肝細胞外から細胞内へCaが流入するが、Mtは流入したCaを取り込み、細胞質内Ca濃度の上昇を抑えた。その後、Mt機能の低下に伴いMtはCaを取り込めなくなり、細胞質内Ca濃度上昇が起こり、肝細胞障害が発生すると考えられた。Ca^<2+>拮抗剤(diltiazem)投与により肝細胞質内、肝Mt内Ca濃度上昇はともに抑制され、肝Mt呼吸能も良好に維持され、肝逸脱酵素の上昇も抑制されることから、Ca^<2+>拮抗剤は敗血症による肝細胞障害抑制に有用と考えられた。
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