研究課題/領域番号 |
05671100
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
久保 隆一 近畿大学, 医学部, 講師 (70225192)
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研究分担者 |
肥田 仁一 近畿大学, 医学部, 助手 (20238306)
田中 晃 近畿大学, 医学部, 講師 (60179736)
安冨 正幸 近畿大学, 医学部, 教授 (60028438)
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キーワード | 基底膜 / ラミニン / 大腸癌 / 肝転移 |
研究概要 |
Lamininを用いた免疫組織学的検討では、大腸癌の約35%が基底膜を形成する癌で、このうち67%が肝転移再発を認め、基底膜を形成しない癌の肝転移再発が8%であるのに対して、高率に肝転移を認める。また、基底膜形成を指標とした肝転移再発予知のprospective studyでは、sensitivity 75.6%、specificity 85.7%、accuracy 83.9%、negative predictive value 94.2%と極めて良好な結果を得た。さらに、基底膜の形態から、基底膜が取り囲む癌腺管が2つまでのものを甲型、3つ以上のものを乙型と分類すると、甲型の肝転移率は85.7%、乙型は41.2%で、肝転移と強い関係がある基底膜形成癌の中でも、甲型の肝転移率が極めて高い。 大腸癌組織の初代培養と原腫瘍とでの比較検討より、基底膜形成能は癌細胞自身の性質であることが明らかとなった。そこで、基底膜形成能にラミニン・レセプター(VLA-6)の関与を予想したが、基底膜形成癌・非形成癌いずれの細胞質にもVLA-6は陽性で、その関与の可能性は低いと考えられた。 また、正常腺管、腺腫では100%基底膜が存在するが、癌では壁進達度が進むに従って基底膜が消失する傾向が見られ、正常から癌化進展する過程で基底膜形成能を保持し得た癌細胞が高い肝転移能を獲得すると考えられた。 肝転移再発予防を目的とした、術後肝動注療法(MMC、5-FU)を行ったところ、全体では動注群の肝転移再発率は5.3%、非動注群では14.%であった。さらに、基底膜形成癌の動注群の肝転移再発率は16.7%、非動注群では66.7%で、有効な結果を得た。
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