本年度の研究は肥大心における形態学的及び、癌遺伝子の発現に関し検討することである。雄性S-DラットにGarciaらの方法により腹部大動脈-下大静脈瘻による容量負荷モデルを作成し、2日目、2週目、8週目に体重、心筋重量の測定を行い、また心筋組織標本のH-E染色、マッソントリクトーム染色、及び免疫組織染色による心筋組織内のc-mycを測定し以下の結果を得られた。 (1)正常群に比して、容量負荷ラットにおいては2週目より心筋重量の増加、左心室壁の肥厚、心筋細胞の肥大が認められた。 (2)免疫組織染色においては負荷2時間目よりすでにc-mycの発現が認められ、容量負荷の非常に早期の段階において肥大発生のメカニズムが発現していることが明らかになった。
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