研究概要 |
ラットの心筋に対する保護効果をUniversity of Wisconsin(UW)液、Euro-Collins(EC)液およびヒスチジンを含むUniversity of Pittsburgh(UP)液で比較した。雄性ルイス系ラットの心臓をUW液(Group A,n=18)、EC液(Group B,n=18)およびUP液(Group C,n=18)で6時間保存し異所性に移植した。移植の後、各群のうちの6頭は術後1週間目まで移植心の生存を観察した。6頭では術後2時間目に移植心を摘出し、心筋水分含量とアデニン・ヌクレオチッドを測定した。残りの6頭は24時間後に移植心を摘出し、病理組織学的に検討した。A、BおよびC群の1週間目における移植心生存率はそれぞれ83.3、66.7および16.7%であった。A、BおよびC群のadenosine triphosphate(ATP)はそれぞれ1.60、1.27および0.92mg/g wet tissueであった。また、energy charge((ATP+adenosine diphosphate/2)/(ATP+adenosine diphosphate+adenosine monophosphate))は85.3、84.8および74.5%であった。心筋水分含量はA、B群がそれぞれ68.0、69.7%であったのに対しC群では71.5%と有意に高値であった。病理組織検査ではC群の心筋の浮腫や壊死および多型核細胞の浸潤が他群に比較して高度であった。ラットの心臓保存ではUW液が最も優れており、EC液がその次でUP液は劣っていた。
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