小児の成長に伴い口径が拡大できる人工血管の開発を行ってきたが。今回経皮的血管形成術(PTA)で口径を小児の成長にあわせていつでも拡大できる人工血管を開発しつつある。それは人工血管の横の捻糸を二種類とし強度の弱いポリエステルの回りを強度が強くて長いポリエステルを螺旋状に巻き全体として一つの横の捻糸を形成する。この横の捻糸と一般の縦の捻糸で平織りの人工血管を作成する。そして横の捻糸の弱いポリエステル繊維がPTAで切断されれば強くて長いポリエステル繊維が伸展され人工血管の口径が拡大されるというものである。 ex vivoでの実験でPTAバルーンを10気圧の加圧することにより口径は6mmが9mm、8mmが1.4mmと1.5倍に拡大した。さらに雑種成犬胸部大動脈を使用した動物実験で人工血管置換後3カ月の時点でPTAすることにより人工血管の内膜が亀裂を生じ口径が拡大している所見が得られた(肉眼的、血管造影で)。またPTAにより人工血管の外膜側に形成されることを危惧された血腫は存在するものの少量であり、量的には問題とはならなかった。これらの実験により生体内で拡張できる人工血管の第一段階は終了したと思われる この我々の小児用人工血管について平成5年度の人工臓器学会、平成6年度の心臓血管外科学会で発表した。さらに平成6年度はサンフランシスコで行われた第40回アメリカ人工臓器学会で報告し反響を得た。
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