心臓、肺臓、腎臓、肝臓などでは、再灌流に起因すると思われる臓器血管障害が発生し問題となっている。我々は再灌流時に発生する活性酸素とこれによる顆粒白血球付着が、再灌流性肺血管障害の原因ではないかと考えている。 そこで、(1)正常のもの、(2)左肺動脈を24時間閉塞したのち再灌流させたもの、(3)あらかじめsuperoxide dismutase(SOD)を投与したのち2時間左肺動脈を閉塞し再灌流させたものの3群において、肺微小血管への顆粒白血球付着と肺微小血管からの血漿蛋白侵出とを観察録画し画像解析した。 これによると、正常肺では肺微小血管への白血球や付着や血漿蛋白の侵出は見られないが、再灌流肺では肺毛細血管を中心に顆粒白血球が付着し、これより下流の肺細静脈から血漿蛋白が侵出した。さらに、再灌流に伴う顆粒白血球の付着と血漿蛋白の侵出はSODの前投与により阻止された。 これらの成績より、再灌流性血管障害は再灌流時に発生する活性酸素で傷害された肺微小血管のうち最も血流速度の遅い肺毛細血管に顆粒白血球が付着し、この付着顆粒白血球より産生放出されるロイコトリエンが下流の肺細静脈を傷害することによって発生するものと考えられた。
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