研究課題/領域番号 |
05671136
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
橋本 和弘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30172860)
|
研究分担者 |
野村 耕司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40246434)
水野 朝敏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60174033)
鈴木 和彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90171206)
江本 秀斗 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10168817)
黒澤 博身 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50075511)
|
キーワード | 体外循環 / 人工心肺 / エンドセリン / エラスターゼ |
研究概要 |
これまでの我々の研究から、体外循環中の臓器障害のメカニズムとして(1)sympathoadrenal responseによると考えられるカテコールアミンの増加、血小板凝集に由来するトロンボキサンA2の上昇、補体-白血球の活性によって放出されるfree radical,中性プロテアーゼ(エラスターゼ)により、血管収縮物質が優位となった環境、(2)内皮細胞由来のプロスタサイクリン、Endothelial derived relaxing factor の産生減少、さらには、Endothelial derived constricting factor(エンドセリン)の産生が促され、障害時に血管の攣縮を引き起こす可能性が推測された。今回、そのメカニズムの解明を目的として、エラスターゼの産生を抑え、血管攣縮を予防し、かつエンドセリン産生を阻害する可能性のあるカルシュウムブロッカー(ニカルジピン)、さらに、エラスターゼの活性阻害剤で、さらに産生も抑制する可能性のあるウリナスタチンを用いて検討を行った。対象とした臓器は最も障害が出現し易い腎臓を主体とした。ウリナスタチンまたはニカルジピンの人工心肺中の投与は尿中の尿細管逸脱酵素(gamma‐GTP,NAG)、血中の臓器細胞逸脱酵素(グルクロニダーゼ)の上昇を有意に減少させた。ウリナスタチンまたはニカルジピンの投与によってエラスターゼの上昇は減少したが、有意差はニカルジピン投与群のみに見られた。エンドセリン値の減少はニカルジピン群にのみ認められたが、ニカルジピンの臓器保護作用はエンドセリン産生阻害のみならず、血管拡張作用による血管攣縮予防も重要と考えられた。 これによって、我々の推測した人工心肺中の臓器障害の機序の正当性が確認され、人工心肺下に生じる臓器障害の予防法が確立された。
|