研究課題/領域番号 |
05671144
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
白根 礼造 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (30206297)
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研究分担者 |
伊藤 正敏 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 教授 (00125501)
井戸 達雄 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 教授 (80134063)
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キーワード | 水頭症 / 脳ブドウ糖代謝 / 嫌気性解糖 / エネルギー産生 / 脳浮腫 |
研究概要 |
われわれはカオリン水頭症のブドウ糖代謝における嫌気的解糖を多重標識オートラジオグラフィの手法を用いて検討した。5週齢の雄Wisterラットを用いて、カオリン生理食塩水懸濁液0.2mlを大槽内に投与した。対照群として生理食塩水のみの大槽内投与を行った。脳血流量及びブドウ糖代謝の測定は、急性期(水頭症作製後1-2週以内)および慢性期(4-6週)におこなった。H-3deoxyglucose静脈内投与後39分に6-C-14glucoseを投与し6分後に断頭した。脳を凍結した後に20μmの切片を作製しBioimaging analyzerを用いて、脳局所glucose代謝率と脳局所deoxyglucose代謝率を求め比較検討した。その性質から前者は好気的代謝を反映し、後者は嫌気的及び好気的代謝の和を表している。両者の差を計算することによって脳局所における嫌気的代謝量が求められる。(結果)急性期には大脳皮質領域を中心に10%程度の嫌気的ブドウ糖代謝の存在が確認された。この傾向は慢性期水頭症でも観察されたが程度は軽度であった。しかし正常コントロール群では嫌気的代謝の存在は確認できなかった。 (結論)本検討の結果から、水頭症急性期に於ては、組織障害或は間質の浮腫により酸化的燐酸化の障害が始まっており正常な好気的代謝が行えず、嫌気的解糖によってエネルギー代謝を営んでいる事が示唆された。
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