研究課題/領域番号 |
05671144
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
白根 礼造 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (30206297)
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研究分担者 |
伊藤 正敏 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 教授 (00125501)
井戸 達雄 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 教授 (80134063)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 水頭症 / 脳ブドウ糖代謝 / 脳血流量 / 嫌気的代謝 |
研究概要 |
我々は、ラット実験水頭症モデルを用いて脳循環代謝障害の特異性について検討した。 (方法)5週齢の雄Wisterラット(100-120g)を用いて、Yamaki et alの方法に準じてカオリン水頭症モデルを作製し、急性期(水頭症作製後1-2週以内)および慢性期(4-6週)に多重標識オートラジオグラフィの手法を用いて以下の検討をおこなった。 1:脳血流量及びブドウ糖代謝の同時測定(18FDGと14C-IAP) 2:嫌気的代謝および好気的代謝の検討(H-3 deoxyglucoseとC-14 glucose) (結果)水頭症急性期と慢性期との間には、脳質拡大の程度、体重、ともに有意差は認められれなかった。脳血流量については急性期には水頭症群は対照群と比較して全脳で低下していた。特に大脳皮質、脳室周囲白質でその傾向が著しかった。この傾向は慢性期水頭症ラットでテント上で更に顕著となっていた。一方ブドウ糖代謝は水頭症急性期には各部位において逆に増加傾向を示していた。deoxyglucoseの取り込みがglucoseの取り込みより高い、即ち嫌気的糖代謝の存在を示唆する領域は急性期では大脳皮質、視床、視床下部、海馬、脳梁などに認められる傾向があり、慢性期では両者の格差は減少し、大脳皮質領域と視床においてのみdeoxyglucose imageの方が高かった。 以上の実験結果より、水頭症急性期において、脳内の環境変化とともに脳細胞内での酸化的リン酸化の障害はすでに始まっており、好気的代謝障害によるenergy chargeの低下が早期からの組織障害を招いている可能性が示唆された。
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