研究課題/領域番号 |
05671146
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 一郎 東京大学, 医学部(病), 講師 (30162928)
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研究分担者 |
桐野 高明 東京大学, 医学部(病), 教授 (90126045)
藤巻 高光 東京大学, 医学部(病), 助手 (80251255)
栗田 浩樹 東京大学, 医学部(病), 教務職員 (70262003)
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キーワード | ガンマナイフ / ラジオサージェリー / 神経細胞 / 生物学的影響 / アポトーシス |
研究概要 |
平成5年度に開発したラット頭部固定用のstereotactic deviceを使用して、Gamma Knifeによる一回大量照射の正常脳組織に対する影響を経時的に調べた結果、40Gy未満では6ヶ月以内では組織学的障害が起きないものの、6-9ヶ月頃より神経細胞の脱落が認められた。この過程を詳細に検討すると、光顕上神経細胞の細胞質の縮小化や核のpyknosisが認められ、電顕では核小体の濃縮や細胞質での空砲形成が確認された。これらの形態学的変化は低線量の放射線により、神経細胞のapoptosisが引き起こされた事を示している。一方、100Gy以上の高線量の照射では、照射後数日を経てから血管透過性の変化が生じ、その後2週間前後でnecrosisに陥る事を平成5年度の研究で明らかにしたが、この過程を詳細に観察しなおすと、照射後数日して、光顕上神経細胞の細胞質の縮小化や核のpyknosisなど、やはりapoptosisを示唆する所見が得られた。これらの事実は、放射線による神経細胞への影響として、線量に関わらずapotosisにより細胞死にいたる可能性が示唆され、現在、線量と細胞死にいたる時間的経過との関係を詳しく検討中である。 また、脳血管に対する放射線の効果として、組織学的変化の主座はまず内皮下組織,特に平滑筋層であり、血管外膜周囲には炎症所見が見られることなど、照射後の血管閉塞機転が現在までにほぼ明らかにされ、ラットの海馬を低線量で照射すると学習能力の低下が引き起こされる事も確認しているが、今後、これがapotosisによる神経細胞脱落によるものなのか、vasculopathyによる二次的な神経細胞脱落によるものなのかを詳細に検討してゆく予定である。
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