研究課題/領域番号 |
05671146
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 一郎 東京大学, 医学部(病), 講師 (30162928)
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研究分担者 |
桐野 高明 東京大学, 医学部(病), 教授 (90126045)
藤巻 高光 東京大学, 医学部(病), 助手 (80251255)
栗田 浩樹 東京大学, 医学部(病), 教務職員 (70262003)
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キーワード | ガンマナイフ / ラジオサージェリー / 生物学的効果 / 臨床応用 / 脳動静脈奇形 / 聴神経腫瘍 / 髄膜腫 |
研究概要 |
Radiousugeryではその急俊な線量勾配により、通常の外部照射では正常脳組織障害を避けるために数週にわたる分割照射を必要とする放射線量を一度に大量照射して病変部位を破壊することを目標としているが、その生物学的効果に関する基礎的データは極めて乏しい。臨床的にも放射線感受性が低いとされる脳動静脈奇形や各種良性脳腫瘍を主な対象疾患としており、その効果(作用機序)も従来の分割照射とは異なる事が予想されるが、詳細は不明である。我々は平成8年2月までに562例のガンマナイフによる定位的放射線治療を完了し、その生物学的効果と治療成績を左右する因子について分析した結果、以下の事が明らかになった。 ガンマナイフの効果が最も早くから確認されている脳動静脈奇形に関しては、従来完全閉塞率(治癒率)は病変の体積と逆相関があるとされていたが、照射の精度を向上させる事により比較的大きいものでも高率に治癒が期待できる。しかし、治療に伴う周囲脳組織の浮腫、放射線壊死は病変の大きさに依存して出現し、神経学的後遺症に関しては主に病変部位に依存する。一方聴神経腫瘍や髄膜腫を代表とする良性脳腫瘍に関しては、照射後にその9割以上が成長を停止し、機序として腫瘍血管の閉塞が最も考えられるが、腫瘍縮小効果は手術摘出と比べて小さい。しかし小型の聴神経腫瘍では手術摘出に比べて術後の聴力維持率がよく、また手術で到達困難な頭蓋底の髄膜腫において術後の神経機能維持に優れている。 以上の結果をもとに、各症例ごとに、手術、Radiosurgery、あるいは手術とRadiosurgeryの併用などの最適な治療方針を決定する事が加能となり、治療成績の向上につながっている。Radiosurgeryは症例によっては非常に有用な治療手段であり、今後脳外科手術の一部におきかわってゆくものと考えられるが、長期成績については不明な点も多く、今後、基礎、臨床両面での正確なデータの蓄積が是非必要と思われる。
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